その他

鴨川の定点観測
鴨川の定点観測

■卒業生の進路(村上G限定です、04/20/14)

 

・食品関係

不二製油X2/花王/ファーマフーズ/グリコ/カゴメ/サントリー/

長谷川香料/ユニテックフーズ/小川香料

 

・製薬関係

中外製薬/三井製薬/大塚製薬X2/上野製薬/ロート製薬

 

・その他

イタリアンレストラン(シェフ)/レコード店(店長)/長瀬産業/

三洋化成工業/電通

 

・アカデミア

(括弧書きのないものはポスドク)

 

5) Medical College of Georgia at Georgia Regents University

  (Assistant Professor)

4) University of Cincinnati College of Medicine

3) University of Illinois at Chicago

2) Emory University School of Medicine

1) New York University School of Medicine

 

3) Gwangju University(韓国)

   (Associate Professor)

2) The State University of New Jersey

1) The University of Tennessee Health Science Center

 

4) Sunchoen University(韓国、研究員)

3) 民間企業(韓国)

2) 産休

1) 金沢医科大学第一病理学

 

4) 福井県立大学生物資源学部生物資源学科(講師)

3) 福井県立大学生物資源学部生物資源学科(助教)

2) 神戸大学農学研究科生物機能開発化学教育研究分野(特命助教)

1) 神戸大学農学研究科生物機能開発化学教育研究分野

 

2) 産休中

1) 京都大学農学研究科食品生物科学専攻

 

1) 京都大学エネルギー理工学研究所原子エネルギー研究分野

 (博士後期課程)

 

2) 国立がん研究センター(特任研究員)

1) University of Connecticut Health Center

 

2) 民間企業

1) 静岡県立大学食品栄養科学部食品生命科学科

 

3) 静岡県立大学食品栄養科学部環境生命科学科(助教)

2) 静岡県立大学環境科学研究所(助教)

1) 神戸大学農学研究科生物機能開発化学教育研究分野

 

2) 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科(助教)

1) 東京農業大学短期大学部栄養学科(助教)

 

4) 東京農業大学応用生物科学部食費安全健康学科(助教)

3) 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科(助教)

2) 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科(助手)

1) 熊本大学大学院生命科学研究部

 

1) 名古屋大学大学院生命農学研究科応用分子生命科学専攻

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■FAQ (06年7月、適宜更新)

大学院受験希望者の研究室見学などで受けてきた質問を中心に記載しています。村上のグループに限定されたことも含まれていますのでご注意ください(ここにない質問がありましたら遠慮なくメールでどうぞ)。

 

・自分がいまやっている研究とこの研究室でやっている内容に差がありますが、大丈夫ですか?

研究意欲次第だと思います。受けてきた講義や卒業研究の内容が違うということは不安材料と感じると思いますが、研究内容に興味があれば配属してからも十分に 対応できると思います。実際に、いまうちのラボでは外部生がかなり多いですし、文系学部出身で製薬会社のMRとなり、その後、配属してきた院生もいます が、何の違和感もなく活発に研究しています。もちろん、誰でもそうなるとは限りませんが。。。

<参考> 出身大学例:同志社大学、近畿大学、立命館大学、京都府立大学、宇都宮大学、名古屋大学、京都工業繊維大学、関西大学、大阪府立大学、静岡県立大学など

 

・実際に研究室の様子はどんな感じですか?

ラボにいる時間帯にはとくに決まりはありませんし、いわゆるコアタイムというのもありません。事故があるといけませんから人が少なくなる深夜や休日の実験は できるだけ避けるように進言しています。徹夜しても次の日は使い物になりませんからこれも勧めません。とにかく集中して時間を無駄にしないように自分をコントロールすることを学んで欲しいと思います。しばりがないということは、自分で責任を負うということです。普段はあまり注意しませんが、こちらから見て いて目に余る場合は、こっぴどく注意、というか徹底的に話をします(平均1回/年/人でしょうか)。

 

・特に学生に要求していることはありますか?

集合時間や締め切りを守ること。気持ちの持ち方次第で守れるはずのことが守れないのは相当に根深い問題だと思っています。例えば、セミナーに5分遅れた学生は、朝のスタートを5分早めれば遅刻は免れることができたはずですから。不可能なことは要求しませんが、できることをしない場合は咎めます。小さな気の緩 みというのは案外、その人間の全体を反映していたり、行く行くは大きな損失に繋がっていたりすると感じています。

 

・どんなセミナーがありますか?

部屋全体のセミナー(雑誌会と研究報告)以外に、うちのグループでは、週に1回の雑誌会(1人1時間x3人)と月に1回の研究報告があります。発表技術を磨きディスカッションの力をつけて欲しいので回数を多くしています(もちろん、これらはカリキュラムに含まれて居ませんので参加は任意です)。

 

・どんな学会で発表していますか?

基本は、日本農芸化学会、日本がん予防学会、日本癌学会、日本香辛料研究会、日本フードファクター学会、米国癌学会です。まず、学生さんに発表の意志があるかどうかを問い合わせた後に、手を挙げた学生に十分なデータがあるかどうかをこちらで最終的に判断します。部屋を代表して発表してもらうわけですから、ス ライドやポスター、そしてもちろん発表内容に関しては、かなりうるさくチェックします。最近では、学生同士でいろいろ指摘し合っていることもよくありま す。そんな甲斐あってか(?)、学生さんの受賞が増えてきたのは本当に嬉しいですね。学生さんに海外で発表してもらうことも重視しています。

 

・就職先は?

製薬会社、食品会社、留学など様々です(研究とは全く違う世界で活躍しているOBも)。私が学生の頃は教授が推薦してくれた会社の中からこちらが選ぶほどの、今では信じられない状況でしたが、近年ではさすがに厳しいですね。面白いことに修士や博士に進学して欲しいと思った学生はほぼ一発で就職が決まってま す。一言で表現すれば「反応の良い」学生さん達です。

 

・研究以外の研究室生活は?

種々の呑み会、歓送迎会、研究室旅行、ソフトボール。。。など他の研究室と大差ありませんが、研究室の伝統行事として茶香服(茶歌舞伎、ちゃかぶき)があります。

 

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■マスコミへの対応について

 

 このような研究をしていると、マスコミからの取材申し込みを受けるときがあります。それに対して私は原則的に断ることにしています。理由は簡単で、「自分の意図する研究内容が記事などに正確に反映されない」からです。言い換えると、愛着ある自分の実験結果が、多少であっても第三者によって改変され、一人歩きする状況はとても耐えられないからです。

 

 もちろん、税金をベースとして研究を行っている以上、得られた成果を積極的に公表して社会へ還元することは義務でありましょう。しかし、誤った情報を世間へ流されるくらいならマスコミに対しては沈黙を貫き、他方、原著論文という形の科学的証拠を残していくのが現段階での私の方針です [かなり昔の話ですが、大手新聞社からの研究取材を受けたとき、記事の内容を事前にチェックすることは無理ということを聞かされ失望した経験があります]。

 

 最近、こんなこともありました。ある新聞社関係の方から、研究者紹介の記事を書きたいから、ということで電話を頂き、そのすぐ後、過去の関連記事のサンプルや取材システムの関する資料をFAXで送ってもらいました。その取材 システムは実に合理的・機能的で、しかもある程度、こちらの意図が反映できうるものと感じられました(実際に本人校正の機会もあり、双方が納得行くまで記事を練り上げるシステムのようでした)。

 そこですぐに、「しっかりしたシステムをお持ちのようですので取材は受けさせて頂きます」という電話をかけたのですが、具体的な打ち合わせを進めていくうちに、「記事の下欄に掲載する会社はどこにされますか?」という質問を受けました。最初は何のことだかわかりませんでしたが、その記事では、研究者の紹介欄の下に、その研究者が研究対象としている食品やその成分に関する広告が掲載されているという構成になっており、 結局、その話もお断りしました。

 FAXを送ってもらった段階でよく理解できていなかった自分も悪いのですが、ある程度の自分の意図が伝えられる機会と思っていただけにとても残念でした。

 

 「○○が××に効果がある」という食と健康に関する情報は、今日、世界中で腐るほどありますが、果たしてそのうち、一般消費者に対して情報が正確に伝達されているケースは何割くらいあるのでしょうか。国立健康栄養研究所の情報もありますが、一般人にはまだまだ距離が遠いと感じます(というか、健康情報を正確に読みとるための基礎的教育が欠落しているために、せっかくの有益情報がうまく伝達されない場合が危惧されます)。

 

 日本ほどの文明国で、食の情報にこれほど振り回されている現状をどう捉えればいいのでしょうか。テレビでやってる食品を食べれば健康になる、病気が治るという単純思考を産み出す土壌は一体、何に根付いているのでしょうか。また、理解度の浅い健康番組が、「食と健康の情報に飢えている」大衆に対して陳腐な権威を確立している事実にも大変な懸念を抱いています。

 

 いくら喫煙歴が長くても肺がんにならない人や全くその逆の人間もいるわけで、食品やタバコなどの外来異物に対する人間の体の反応は実に複雑怪奇、一筋縄の 理解では到底太刀打ちできません。また最近では、教科書にも載っている「食物繊維の摂取は大腸がんの予防に効果がある」という定説も翻される様相です。こ のような例を挙げればキリがありません。

 

 以上、述べましたように、食の生理機能性については不確定な要素が満ちあふれています。だからこそ研究の余地があるわけで、私もそれを1つの理由として研究を続けています。しかし、ほとんど のマスコミでは、取り扱いにくく、また理解し難い問題点をバッサリと切り捨て、かなりの部分を単純化し、都合の良いストーリーに仕上げることによって視聴者への理解を平易にし、利潤を得ているのだと私は捉えております。こうした方法論は「一般人にわかりやすく」という隠れ蓑をまといながら、国民に対して、【想像すること・思考すること・検証すること】の放棄を促しているようにさえ思えます。考えすぎでしょうか。

 

 私はむしろ、マスコミに積極的に協力することで、研究の現状、成果、問題点、展望などを世間の方々に知って頂きたいと本質的に考えておりますが、以上の理由から、現段階では、その術を見出せない状況です。このような閉塞的現状は実に残念なことで、食と健康に関する情報を大衆に正確に伝達できるシステムが一 日も早く構築されることを願います(願うだけではダメなんでしょうね。模索し続けますーこうしたHPも小さな手段ですが)。

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■英語論文作成上の注意(部屋の学生向けバージョンを改変)

 

 論旨を通さないといけない、わかりやすく、目的や背景を明確に、図表は見やすく、といった点は卒論、修論と全く同じです。

 

・Title

簡潔な方がいいですが、どうしても長くする必要があるときもあります。そんなときは「:コロン」を使って副題をつけましょう。また、研究者はPubMed などを見ているとき、タイトルだけを見て文献スクリーニングしている場合もありますので、できるだけ魅力あるものが適切です。

 

・Abstract

全体の中で、最も重要な部分です。なぜかというと、アブストは論文全体を反映した唯一のセクションですから、読者がその論文の中身まで目を通すかどうかを 決定します。また論文審査員(reviewer)の印象もある程度アブストの内容で決まってしまうことが多いことも事実です。さらに、いいアブストが作成できれば、論文の中身は機械的に埋まって行きますから、その作成には十分な推敲が必要です。アブストには(字数制限にもよりますが)、「目的・背景→方法 →結果→考察→結論」といった、論文における一連のコンポーネントが存在する必要があります。特にアブストにおける最後のセンテンスは、「その部分を読め ばどんな研究結果が書いているのか一目瞭然」なものでなくてはいけません。逆にアブストをスクリーニングする際に、最後のセンテンスだけ読んで、必要であ れば中身に入る、といった手順も有効です(文献情報収集法の話です)。

 

・Introduction

これも結構難しいセクションです。イントロの最後の方では「..だからこの研究では○○について検討した」という流れになるのですが、その流れが自然であるような展開・論理的根拠(rationale)が必要です。あまり関係ない背景は組み入れず、まず必要な情報をランダムにピックアップします(個々の 情報をセクション化できるくらいの明瞭な棲み分けや整理が必要です)。次に「その情報をどの順に並べればいいのか」徹底的に検討します。この辺りは Discussionにも通じることですが、案を練れば練るほど良い感じに仕上がって行くもので、「完成」に至ることは少なく、どの辺りで妥協するか、という問題になります。逆に、このプロセスを適当にやってしまうと非常に印象が悪くなるでしょう。繰り返しますが、まず、必要なコンポーネントをピックアッ プして、それを適切に並べる努力を徹底しましょう。

 

・Materials & Methods

ここは機械的にできるところで、過去の類似の論文をどんどん参考にしましょう(完全なマル写しはダメです→それがベストであり正しい文章だとは限らないので)。

 

・Results

これもある程度、機械的にいけます。注意点は2つ。日本語でも同じですが、「増えた、減った」ではなく「○%抑制した」のように、(全ての場面ではないですが)具体的数値を引用して結果を述べた方が効果的な場合があります(例えば、グラフでは定量値が示しているが、抑制率は示していないときには本文ではその数値を補足した方が親切でしょう。vice versa)。もう1点は、原則として、ResultsのセクションにはDiscussionを入れないことです。実験結果がそこに書いてあるので思わず 何か考察を書いてしまいそうですが、結果は結果として無機質に書くのがいいでしょう。ただし、「○○は××に関連しているから次にこれをやりました」など、「その実験をやる理由や背景」について簡潔に書くのは良いでしょう。

 

・Discussion

これもIntroductionと同様、かなり頭が痛いセクションです。コンポーネントのピックアップとそれを並べる順番の推敲。自分の実験結果がどういう意味を持って、今後、何を明らかにするべきなのか、じっくり考えて過不足の無いようにまとめることが必要です。研究自体の価値や新規性をアピールするセクションですから、「営業努力」が必要とされます。ある意味では論文のハイライトとも言えるかも知れません。

 

・Acknowledgement

研究協力者や研究助成金などの情報を入れることがあります(というか、多いです)。後者の場合は、一定のフォーマットが必要な場合がありますのでわからない場合は問い合わせると良いでしょう。

 

・References

その雑誌の表記スタイルの統一性を保つことに注意してください。また、手持ちの文献以外にも、論文を書く機会に、もう一度、引用すべき情報がないかどうか精査した方がいいでしょう。Keywordの入れ方次第であっと驚く論文がヒットすることがありますので。

 

・Figures & Tables

見やすく、丁寧に作成します。Legendsは、それを読めばだいたいどんな実験をやったのか読者が理解できるような情報を入れます。図とタイトルだけ書いて、後は知らんプリではいけません。

 

・全体的注意

何事もそうですが、ダラダラやってはいけません。平素以上に集中力を高めて短期間で仕上げましょう。英語に関して全体に通じて言えることですが、 nativeでもない人間がいくら「頭」で英語をひねり出してもだめです。言い換えると、日本語論文を和訳したようなものでは通用しませんし、限界があります(全く無駄とはいいませんが)。最初は特に「モノマネ・フレーズ借用」を大奨励します。誰でもそうしていくうちに、自然にフレーズがでてくるものです (自身、まだその境地ではありませんが)。このとき重要なことは、あくまでnativeが書いた、ある程度のレベルの論文にでてくるフレーズだけをマネす ることです。村上などが書いたものをまねるのは、かなりハイリスクです(一応、nativeのチェックは受けていますが、それで英語は問題ないということ は決してありません)。また、書く順番に関して、「Abstract→Introduction→M&M→Results→Discussion→

Acknowledgement→References」 とバカ正直に書いて行くのは感心しません。個人的な鉄則としては、まずAbstractと図表を作ることです(これらを基盤としていろいろ書いて行くわけ ですから)。そして、原稿を書いていくうちにジワジワとアイディアが湧いてくるDiscussionは後回しにして、まず、Introductionを書 きつつ、煮詰まったら、機械的作業で済むM&M、Results、さらにはReferencesに逃避して、後からまた難しいセクションに取り組む、というパターンが多いです(こうやると時間的ロスが少ない)。当然、煮詰まることは何度もありますが(ある日突然、何も書けなくなったりします)、その度にハードルを克服してこそ、いろんな点で進歩するのだと思います。

 

 自分が苦労して苦労して苦労して書いた論文が印刷された様を見るのは、そりゃもう格別です。してやったりです。

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■卒論・修論の作成上の注意

 

・先手を打つ

締め切りが近づくと「あと1日あれば・・・」ということがよくあります。時間のあるうちにどんどん貯金するくらいのペースでないとあとで後悔するかも知れません(いや、する)。

 

・骨組みをしっかりと

論文で最も大切なことは、論旨が通っているか、わかりやすく書けているか、ということです。それを達成するためには構成がしっかりしていることが大前提と なります。序論、本論、実験の部とも、まず必要な項目をピックアップし(後で取捨選択するので広い範囲の情報を集めておいた方がいいです。捨てることはいつでもできますから)、特に序論では、研究背景、自分の研究の必要性、類似研究の進展状況、具体的な目的などを整理し、どのような順序で論旨を展開していったらいいのか、慎重に考えましょう。この段階がクリアできれば半分以上完成したも同然です(あとは空欄を機械的に埋めていけばいいだけですから)。逆にあまりこのプロセスを重視しないと、いくら読んでも言いたいことがさっぱりわからない、お寒い論文になる可能性が増大します。

 

・正しい日本語を

年齢を考えると、日本語自体を注意されることは恥です。その理由は、自分で防ぐことのできるミスだからです。自分の日本語が正しいかどうかは、書いた後で 自分でじっくり(時には声を出して)読み返せばチェックできるはずです(この作業を教員にやらせるのは変だと思いませんか?)。もう1点:パソコンの画面 上だと推敲能率には限界があります。ある程度、文章を練り直したらプリントアウトして赤ペンで(なくてもいいけど)バシバシ添削してください。自分は初め て卒業論文を書いてから15年くらい経ちますが、今でも学生に添削する量と同等以上に自分の草稿には筆を入れています。本当に日本語(と、もちろん英語 も)は難しい。

 

・図表・スライドはわかりやすく

これはいかに他人を想いやっているか、が問われる作業です。自分には一目でわかるデータでも他の人が見たら何を示しているのかさっぱりわからない、ということはよくあります。フォントやシンボルの大きさ・統一性、構成図の配置具合、有効数字(表)、単位や脚注の正確性、そして、結論などのまとめをイラスト で表現するということも有効です。参考文献の表記法を統一することもこれに含まれます。

 

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■研究環境・設備など

 

機器分析関係:HPLC、NMR、MS、UV、IR、旋光計など

培養細胞関係:CO2インキュベーター、フローサイトメーター、顕微鏡、クリーンベンチなど

生化学・分子生物学関係:微量NO測定装置、マイクロプレートリーダー、サーマルサイクラー、電気泳動関係一式、ルミノメーター、ルミノイメージアナライザー、リアルタイムPCR装置など

 

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■大学・大学院受験者の方々へ

 

・大学(院)の研究室はどんな場所?

高校までの勉強とは異なり、大学(院)での研究というものは何より自発性が大切です。研究テーマを与えられることは「他人から与えられたきっかけ」だとしても、それをどのように消化していくのかは個人によって全く違ってきます。2人の学生に全く同じ研究テーマが与えられた場合、論文になるような一定の成果が挙がる場合もあれば、全く役に立たないゴミデータばかりが溜まってしまう、あるいはゴミさえも溜まらない、ということもあり得ます。

 学生・大学院生は学費を払って籍を置いているわけですから、それ相応の利益を回収しなければ、割が合いません。もっとも、こんな視点に立てるのは社会へ出てから、ということが多いようです(自分が学生の頃を考えるとあまり建前論ばかりを述べるのはよくないかも知れませんが・・・)。

 

・好循環を呼べ

自分の研究テーマに興味が湧かない

 →熱心に、あるいは注意深く実験をしない

 →いい結果がでない

 →教官と疎遠になる

 →自分の研究テーマに・・・

という悪循環を私は何度も経験しています。もちろん、それぞれが逆である好循環も数多く体験していますが、好循環の輪はなかなか容易には廻りません。

 この気持ちのいい輪をできるだけ早く、力強く廻すためには、何より「自分がやろうとしている研究テーマの位置づけや価値を知っておくこと」だと思います。 研究の背景を知らずに、教官から指示されたことを単にこなしているだけでは、それは「作業」に過ぎません。このような状態では自分からアイディアを出すこともなく、単に時間を消化しているだけ、と言っても間違いではないでしょう。

 好循環の輪をとりあえず簡単に廻すコツはとにかく教官と対話することです。いや、対話でなくても最初は初歩的な質問責めでいいのです。「なぜこの研究に取り組むようになったのですか?」「ライバルはいるのですか?」「どんな結果が出れば満足なのですか?」など、研究課題に関する専門的なことでなくても良い のです。

 そのうち、研究が自分のものになってくれば、教官をうち負かすだけの discussionができるようになるかも知れません。これはある意味自然なことです。なぜなら、院生(学生)は自分の研究に徹底して時間を割くことが 可能ですが、教官には他の研究テーマもあり、その他の雑務もかなり負担になっていますから(言い訳クサイ...)。

 

・大学院入試も情報戦

大学入試に「傾向と対策」が必要なように、院試を受ける場合にはある程度の組織的な備えが必要です。幅広い知識があった方が良いことはいうまでもありませんが、過去の問題を取り寄せてどのようなポイントが重視されているのか、を見極めてから臨むことも実効的です。

 院試の最大のポイントは英語であることもお忘れなく。大学受験の英語のように、文法に素直に従って直訳するのではなく、文章を英語で理解し、それを日本語に変換する、といったプロセスが必要です。専門的な語彙を集中して覚えることも大切ですが、案外、見落としがちなのは国語力です。英語をそのまま訳すと日本語として全く意味不明になってしまうことがあります。

 例えば、文頭に 「We」などの主語があってもそれを敢えて訳さない方が自然な日本語になることは多々あります。このような例は氷山の一角で、英文に表現されているある単語を省略し、逆に、文中にない単語を補って和訳した場合の方がぐっと引き締まる訳文が書けることがよくあります。また、2つの英文をつなげて訳したり、逆 に1つの英文を2つの日本語文に分けた方が自然な場合もあります。

 大学受験英語の感覚が染みついている人ほど、訳し方に融通が利かなくなっている場合がありますので、注意しておきましょう。いずれにせよ、正しい日本語が書く力がなければ、たとえ英語の理解力がアップしても効果半減といったところでしょう。

 自分の和訳した日本語が適切であるかどうかの判断は、他人に読んでもらうという方法もありますが、声を出して読んでみると一目瞭然です(一読瞭然?)。

 英語力をつけるのには大変時間がかかります。即効的手法は絶対にありません。また、実際にどれくらい進歩したのかが見えにくいことも事実です。良文をできるだけたくさん読んで、毎日コツコツやることが王道だと思います。

 

・受験する部屋は必ず事前に訪問しておく

最近は大学研究室のホームページも充実していて、研究内容が広く公開されていますが、それを鵜呑みにすることは大変危険です。これは別に研究室のHPが美辞麗句ばかり並べているという意味ではなく、HPのような媒体だけでは研究内容を正確に把握し、自分の適正を判断することは困難だからです。

 ですから、自分が受けようとする研究室へは実際に顔を出して、教官や大学院生の話に耳を傾けることが必要です。事前にアポイントメントを取っておけば、ほとんどの教官は必ず時間を作ってくれるはずですから、遠慮することなく気軽に連絡を取ってみましょう。自分の研究内容を説明する、ということは多くの教官 にとってはどちらかというと楽しいことです。また、大学院生は具体的な院試対策や研究室の陰の部分(?)についてもこっそり教えてくれるかも知れません。

 

・私の研究テーマを志望する学生の方々へ            

学生は自由を保障されています。時間の使い方が自由な分、それをどう活かすかによって学生生活の納得度は大きく変わってくることでしょう。これは後から振り返ってみて初めてわかることだと思います。

 遊ぶのも大いによし。要は遊びと研究のメリハリをきちんとつけることです。ダラダラと研究室にいるだけではあっという間に時間は過ぎてしまいますが、計画性をもって集中して実験をすれば、1日中かかることが半日でできたりします。もちろん最初からスムーズに進むものではありませんが、努力や工夫を重ねていくうちに自然にできるようになるものです。こうした訓練は、将来、どんな職業に就こうとも役に立つはずです。

 この部屋で研究をするには好奇心と積極性が何より必要です。専門分野に関する知識が多少乏しくとも、好奇心があれば知識は自然に広がり、それでまた基礎に 立ち戻る、ということもあります。このHPで書かれている研究内容に興味を持った方は、ご一報下さい。共に「好循環の輪」を廻し、自分を磨く絶好のチャン スとなることを祈ります。

 

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■論文セミナー(部屋の学生向けバージョンを改変)

 

・論文セミナーって何ですか?                  

自分で研究論文(主に英語)を選んで、その内容について研究室のメンバーの前で発表することです。選んだ論文に書かれている情報だけでは不十分なことが多いので、関連論文のデータや参考資料を掲載したレジュメを準備するのが普通です。

 

・論文セミナーをやる目的は何でしょうか?

理由は2つあります。一つは、専門的知識を学ぶため。もう1つは、「自分が勉強したことを他人へ正確に伝える技術」を試行錯誤しながら修得するためです。 前者は、専門的知識を必要としない職業に就く学生には卒業後は必要ないかも知れませんが、後者は卒業後もあらゆる場面で必要となる可能性があります。会社によってはもちろん日常的にpresentationがあるでしょう。ですから、前者の重要性もさることながら、特に後者に関するスキルアップも大切にして欲しいと思います。

                                

・どんな点に注意すればいい発表ができるのでしょうか?

まず大事なことは、いい文献を選ぶことです。これは初心者には実に難しい作業であるが努力して欲しいと思います。データベースやインターネットなど情報源をフルに活用しましょう。いい文献とは、学問的価値が高く、わかりやすく、歴史的読み物のように面白いものです。

 何気なく文献を選んでもお宝にあたる確率は極めて低いですから、10個以上の論文のabstractをじっくり読み、数個に絞り込んで最終的には論文全体 を読んでから決定する、というくらいの慎重さが必要です。なぜなら、退屈な論文を選べばやる気も失せてしまいますが、いい文献を選べば「聴衆に伝えよう」 という前向きの姿勢が出てくるからです。

 次に、論文を選んでから発表までには 2つの段階があることを知って下さい。まず1段階目は、「自分が理解できた」というプロセスで、その次に「自分が理解した内容をいかに他人に伝えるか」と いう方法論に関する試行錯誤のプロセスがあるのです。発表の際に「原稿棒読み」することは、いかに文献を理解できてないか、自分のものになってないか、という証しであるとも言えます。

 また、自分が理解していないのに、字面(じづら)だけ追ってしゃべる学生がときどきいますが、それは時間の無駄ですし、何より聴いている人間に対して失礼です。自分が何日間もかけて苦労して理解した ことを短時間で他人にわかってもらう場合に、「スラスラ」しゃべられても迷惑なだけでしょう。

 発表に際しては、各ポイントを箇条書きする程度にして、「自分の言葉」で聴衆に伝える訓練をしましょう。多少、たどたどしくても、「なまの言葉、自分の言葉」は聴衆に通じるものです。そして、「この言い方、この言う順序でわかってもらえるだろうか」と常に疑心暗鬼になることもポイントです。また、ただ単に、一つの 研究を紹介するのではなく、背景、問題点、疑問点(理解できない内容があっても、当然です)などをきちんと浮き彫りにすることも重要だと思います。

 リハーサル(1人でも充分)をやるときは、必ず声を出して、発表時間内に収まるように内容を追加したり、削ったりします。原稿を棒読みせずに肉声に出して練習すれば、必ずどこかで詰まりますから、自分が理解できていないところ、弱点が浮き彫りにできます。この弱点を発表当日にさらけ出すか、前日までに解消しておくかが運命の別れ道と言っても過言ではないでしょう。

 どの学年にも1人くらいは、キラリと光った発表をする学生がいます。その人の発表のどこが良かったから内容がわかりやすかったのか考察し、良いところはどんどん盗もうとする姿勢が大切です。最初から発表が上手な人はいません。発表技術を少しでも向上させるためにいろいろと工夫しながら努力していくことが大切です。

  一度、マスターすれば(終わりがあるものではないですが)、一生モンの財産になりますので大切に保管しましょう。でないと、気がつくと前よりヘタになっていた、ということも十分あり得ます。私自身は、慢心ゆえに財産が目減りしないように心がけています(が、現実として退行することもあります)。

 

・発表だけでなく                        

 セミナーでは必ず質疑応答の時間がとられます。「こんなことを聞いたら笑われるかな・・・」「質問があるんだけど、うまくしゃべれるかな・・・」というこ とで臆してしまうのは絶対にマイナスです。セミナーに限らず、疑問点はその場で解決しておく、というのが原則です。発表と同じで最初からいい質問、鋭い質問ができる必要はありません。「(専門用語)ってどういうことですか?」「○○の説明のところがよくわからなかったのでもう一度簡単に説明してください」 のような、初歩的質問から始めましょう。

 私の個人的意見ですが、スピーカーへ 質問するということは、もちろん自分のためでもありますが、スピーカーの労をねぎらってあげる、という意味合いがあります。せっかくがんばって準備して発表したのに「シーン」とされては、悲しいものがあるでしょう。もちろん、事前に論文にきちんと目を通しておく方が質問が湧いてきます。

 

 

学問小話(研究紹介)

プレスリリース資料(09/13/2023)

プレス配布資料確定版.pdf
PDFファイル 1.5 MB
研究紹介
(公財)浦上食品・食文化振興財団設立30周年記念誌より抜粋(許可を得て掲載)
浦上財団2016.pdf
PDFファイル 2.6 MB
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